「マル激トーク・オン・ディマンド 5金スペシャル(無料放送) 史上最強のアイドル論」ゲスト:中森明夫氏(コラムニスト)

稀代のアイドル評論家として80年代からアイドルとそれを取り巻くユースカルチャーと深く関わってきた中森氏は、70年代の南沙織から山口百恵キャンディーズピンクレディー、80年代の松田聖子から、中森明菜岡田有希子、おにゃん子クラブ、そして、90年代の宮沢りえから小室ファミリーにいたるまで、アイドルたちがその時代時代をリードする様をつぶさに観察してきた。
 その中森氏は「アイドルは時代の反映ではない。時代こそがアイドルを模倣するのだ」を持論とするが、さりとて、その時代時代の政治、経済、社会情勢が、アイドルたちの中に色濃く見て取れる点も鋭く指摘してきた。
 例えば、中森氏が「日本人アイドル第一号」の称号を与えている南沙織のデビューは1971年。オイルショックとドルショックで戦後の日本を引っ張ってきた高度成長神話が壊れる一方で、日本は公害や労働争議、政界汚職など高度成長の陰で進行していたさまざまな問題に喘いでいた。翌年の浅間山荘事件では、左翼イデオロギーの成れの果てがあらわになった年でもあった。この成長神話と左翼イデオロギーの2つの神話が終焉した年に、日本人は沖縄から南の風に乗って颯爽と登場した南沙織という偶像に熱狂せずにはいられなかったと、中森氏は言う。
 もちろん南沙織の前にもアイドルはいた。しかし、そもそも中森氏は、南沙織以前のアイドルは「スター」であってアイドルではないと言う。「日本がまだ貧乏な頃、日本の夜は暗かった。暗い日本の夜空にはスター(星)が必要だった」と、それまでの時代の要請は、歌もうまく演技もできるきら星のようなスターだった。しかし、南沙織以降、日本人は歌がうまいわけでもなく演技ができるわけでもないアイドルという名の偶像を求めるようになったと中森氏は指摘している。
 そして、時代の鏡としてのアイドルの系譜は、70年代後半の低成長時代の混沌の中を駆け抜けた暗い目をした山口百恵、そして空疎に明るいバブル期の松田聖子らへと引き継がれていく。
 しかし、2000年に入り、突如としてアイドルが消える。冷戦が崩壊し、テレビがお茶の間から消え、携帯電話の浸透などによって、生活様式が過度に多様化し蛸壺化、島宇宙化する中、日本人全体を束ねる共通前提が消滅したことが直接の原因だと中森氏は言う。

いやあ、めちゃくちゃ面白い。特に前半が。

TVがアイドルを作ったというのは、これは間違いないですね。
で、思ったのは

70年代:日本テレビ(「スター誕生」)&TBS(「時間ですよ」)
80年代前半:TBS(「ザ・ベストテン」)
80年代後半:フジテレビ(「夕焼けニャンニャン」)

というTV局の勢力の時代の移り変わりがあったかな、と。
それを考えると90年代は、テレビ東京の時代だったから「ASAYAN」が鈴木亜美モーニング娘。を輩出できたのではないかと。
それから、「夜もヒッパレ」(安室奈美恵&SPEED)か。日本テレビがフジテレビから視聴率王を奪い取った時代。

その上で言うとモーニング娘。というのはTVによって作られたアイドルだったのですが、それと共にWebメディアに移っていく過渡期のアイドルだったとも言えると思うんですね。あ、過去形にしちゃった。

でも2ちゃんねるテキストサイトの盛り上がりが無ければ、四期メンバー加入後(吉澤、石川、辻、加護)の盛り上がりは無かったかなと思うんですよね。あと、松浦亜弥も。
それもWeb2.0への移行によって終わりを告げ…というのはどうでしょうか(笑)。

今回のマル激へ不満を言えば、そのところで。
かつてテキストサイトモーニング娘。について語っていた人たちは、と言えば、今はPerfumeなわけで。
彼女たちがキャンディーズだとしたら、ピンクレディも来年ぐらいに生まれるのでは?