ディスコ・ブームの内実に関する疑問

次に前者の質問、

  • 70年代末でも黒人文化を素直にあるいは憧れをもって受容する層は確実にいたにしても、その規模は今に比べれば格段に小さいんじゃないか?

についてですが規模を何らかの具体的なデータが無い限り、量的に量るのは、なかなか難しい問題でもあるかなと思います。議論の進め方として適切な質問ではありませんでした。
ただ、ディスコ・ブームのような一極集中型よりも、長い期間での多様な受容の方が、黒人音楽総体への理解ということでは勝っているようにも思われます。
その関連で、ディスコ・ブームの内実についても考えたい部分もありますが、既に長文になってますので2点のみの指摘に留めたいと思います。

  • まず黒人の批評家ネルソン・ジョージのようにディスコ・ブームを「R&Bの死」と考える人たちが少なからずいること。
  • また日本のディスコ・ブームの渦中にいた人の中にも[この時期が正統派Black Music(送り手側であるアーティストも受け側であるファンも)にとっての暗黒期であった]

と考える人もいること。こちらのページの一番上にある「第46号」参照。それから「第9号60年代後半〜のディスコのながれ」も歴史的証言として興味深いです)。
個人的に、これらの意見を軽々しく鵜呑みにすることは出来ないと思いますし、70年代後半のディスコ・ブームがアメリカの黒人音楽の日本における一般化に寄与したことは認めますが(そうでなければ「偏見が50年代から漸進的に弱まった」と史観とも矛盾しますので)、それをもって当時の日本に[黒人(音楽)]への[偏見]が無かったと簡単には言えないというのが正直な思いです。