『バブルとデフレ』についてメモ

手元に本がなく記憶で書きますが。
この本は経済における心理的な要因を大きく見積もっているのだけど、そこで「安楽」と「快楽」の違いというのが提出されている。
人間というのは刺激が強すぎても(例えば騒音)、弱すぎても(完全な無音)不快になる。で、ほどよい状態(自然音が聞こえる状態)というのが「安楽」。
でも逆に強い刺激を求めてしまうこともあるわけ、それも繰り返して。それを「快楽」と本書では呼んでいるのだけど、精神分析で言えばこれは、言い回しがずれて「快楽」と「享楽」との違いということになると思う。
精神分析の大原則「快楽原則」っていうのは、まあ興奮を常にゼロにたもとうとするホメオスシタシスの機能だって言えるだろうから。
でも、その「彼岸」があるっていうのがフロイトの後期の思想で、ラカンは、そこには「快楽」を越えた「享楽」が関係していると考えた。
死の衝動(タナトス)とか反復強制とか。
で、また前記書に戻ると日本のバブル期というのは、「快楽」をやめられないとまらない、かっぱえびせん状態(本当にこういう表現を使っている)で追い求めていた時期だという。
まあ動物的だけど「本能が壊れた動物」だよなあ。