『エレファント』(ガス・ヴァン・サント監督作品)評

複雑な時間構成は個人的には好きなのだが、やや高踏的すぎるか、とも感じた。この音と映像なら、普通のリニアな時間構成でも、じゅうぶん衝撃的だっただろう。こういう作品こそ、あまり映画を見慣れていない人にも見てほしいと思うので。

a day in the life of mercy snow:
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/LinkDiary/links0407.html
個人的な解釈からすると本作は徹底して個人の視点に拘ってとらえたものだと思っていて(単純にタイトルは「群盲、象をなでる」から来ているわけで。ただし映画は聾唖ではあっても盲であることはできない)、スタンダードサイズなのも人間の視野に一番近いからじゃないかとか、時々インサートされる空模様も最初の方で女子生徒が見上げるシーンがあって決して超越的ではないとか、同じ時間の出来事が3つの視点から撮影されていたりとか。その上で排除されているのはマスコミの報道の視点や普通のドキュメンタリーにあるような固定された視点だ、と。
ちなみに同監督がヒッチコックのカット割りまで踏襲してリメイクした『サイコ』は、「映画のリメイクってのは同じ脚本やストーリーだけで作り直すってことじゃないだろう」っていう考え、というかリメイクを依頼した会社側への嫌味なんじゃないか、と思ってます。