「黒人音楽」の件について

m3さんによる08/04の記述へのレスを、遅くなりましたが。

頂いた[突っ込み]に、ちょっと枝葉が多いので、まず、それを刈り込ませて頂きます。

「独断と偏見」というフレーズの創始者が山城新吾だった、というのには個人的に「20へぇ」レベルですが、ただ、それが「偏見」の意味まで変えた、ということになると「検証VTR」が欲しいなという感じですね。ともあれ「偏見」についての私の考え方は、この前書いたとおりです。
私がアメリカ文化至上主義者である推理については、「情報不足による偏見の一実例ですよ」というのは、この前書いたとおりです。
ともあれ、あまりに言葉の使い方に開きがあるようなので[偏見]は、出来るだけ使わないで議論を進めようと思います。何だかイデオロギーを先行させてるんじゃないか、って印象も持たれているようなふしもあり、不本意でもありますから。

「黒人音楽にレゲエを含めるならジャズはどうなの」という話は某掲示板でも同じようなことを指摘されてますが、あくまでロックン・ロール以降の黒人音楽の話です。確かにジャズは戦前戦後、日本でも一定の普及をしていてレベルも高かったと思いますが、日本のジャズ・ミュージシャンがロックン・ロールに対応できたかというと、そうではなくて、無理にやると、東京ビートルズのような音になるということです。
YMOにしてもフュージョンじゃダメだ、というところで、例の『OMOYDE』での坂本氏の発言(P.47)。

結局、ジャズというのはクラシックと同じで、非常にアカデミックでね。レゲエなんて単純な音楽をバカにするところがあるじゃない(中略)。
だけど、日本のジャズというのは輸入された音楽だから、どうしても理論的っていうか(後略)。

これはレゲエのところをロックン・ロールに変えても同じくですね。

レゲエを黒人音楽としてR&Bなどと一緒にしているのは、「黒人の音楽」という文字通りの意味と、それがR&Bの影響(渋谷陽一は[ロック]と書いてますが、こっちの方が表現として的確でしょう)を受けて生まれている歴史的経緯からです。確かに判り難いかもしれませんが、メモだったので説明を省略しました。

大衆音楽と民俗音楽との違いは、単純なところで商業音楽であるか、基本的には商業とは離れた民族共同体の中での伝承音楽か、という部分で考えています。

黒人は大衆音楽を生み出すに至っていない(あるいは十分に至っていない)」という[偏見]

と一般化したのは判りにくかったかもしれませんが、アメリカのものでも昔のブルースなどを民俗音楽的に捉える、神秘化する、ありかたというのが日本にあったと思いますので、広くしてみました。レゲエにしても何にしても民俗音楽的に捉える時に起こりうること、ということですね。

さて「幹」の方に話を進めます。

それにあれですよね、”日本人によるロック”の始祖の1人とされる”細野サン”なんかも、どうも”アメリカの文化”を”エスニックなもの”として捉えていたフシがあるよね(笑)

これは正直あると思います。細野氏のそういうところについての私の評価は両義的ですね。あと超心理学とか、神秘主義的なところとか。この二つは関係していると思うんですが。
『OMOYDE』の発言にしても、とにかく色んなものを[民族的]に捉えるところが多いですし。ただ、各地の音楽を博物学的にサンプリングしまくっているディープ・フォレスト批判とか(最近は元ちとせが「使われ」てますね)、そういうところに対する自己批評性とかは評価しています(p184〜7)。
このへんは興味深いところですが、またイデオロギー先行だと思われても困るので、ここまでに。

それから、[NEW WAVE]ですが、これを含めると話が、またややこしくなるので省いてパンク全盛期(76〜77年)に限定したかったんですね。確かに、それ以降になると[黒人音楽]との連動性も判りやすくなったと思います。スペシャルズなどはメンバー構成からして黒人がいるわけで。
この突っ込みは、かなり「痛いところ」を突いてきてらっしゃる。
このへん、長いスパンで通史的に見ていかないと理解しにくくなると思います。既に長文になってますので、また後日、改めて。

最後に私もm3さんに習って、一つ推理(と言うほどのものではないかな)を。
NEW WAVE]ということで、m3さんの御話が80年代の方にスライドしていってますが、どうにもm3さんの中にあるイメージが80年代が基盤になっていて、それを70年代に敷衍して行ってらっしゃるような印象があります。
70年代の話だと、私のメモを最初に全否定したわりには、その後の文だと「〜してたはず」とか断定を避けるような言い回しになってらっしゃいますし。でも80年代になると、やたらと詳しく具体的になるという…。この点、最初からm3さんの御年齢を推察してしまっていたわけです。
「いや70年代もバッチリ体験して知っているよ」ということであれば、また違った受け止めようもあるんですが。
その上で、一つ質問しておくと黒人音楽の日本における影響は70年代よりも80年代の方が濃いと思われませんか?
一般的に洋楽全般が一番聴かれた時期ということですと70年代<80年代でしょうし。
黒人音楽については、それこそ話に出た[ブラコン]ですよね、マイケル、ライオネル・リッチー、ホイットニーとか。あとプリンスなんかもいますし。
どうでしょう?水曜どうでしょう(笑)。

ということで後日、第二弾に続く。