伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』ISBN:4396207557

遅ればせながら「初伊坂」。ちなみに兄からの貰い物。
ウェストレイクやブロックが書いているような(って後者は全く未読なんだけど…)クライム・コメディ、スクリューボール(奇人変人)なケイパーもの。
数年前までは絶版だった角川文庫のドートマンダー・シリーズを読んでたのが自慢だった人間なんで、こういうのを書いてくれるというだけで、嬉しい。
しかも内容も、なかなかのものだし。シリーズ化期待。
ということで、ちょっと今後の希望を書いておくと、プロットが手が込んでいるのは良いのだけど、説明調になってしまっているところや、表現に多少、無駄があるのは、「軽み」を削いでいる。前述の米作家のことを考えると、この手のものにはハードボイルドの簡潔で引き締まった文体が必要なのかも。
ちょっと逆なことを言うようだけど無駄が少なすぎるというのも難点。この「無駄」はプロットとは直接関係ない「遊び」という部分。
折角、魅力的なキャラクタを沢山出しているのだから、そこらへんの枝葉を、もっと張巡らせれば、幹=プロットも読まれづらくなると思う。今回は、まあミステリを読みなれていれば、大体、予想がつく展開だったので特に。