いしかわじゅん『漫画の時間』(晶文社)ISBN:4794962320 読了。

実作者でもある著者が様様な媒体で書いてきた漫画評の中から約100をまとめた圧巻の一冊。現在、新潮OH!文庫版もありISBN:4102900098
結構、辛口。厳選されているからか、「漫画評界のポーリン・ケイル」とまではいかないけど。
冒頭の総論的な文章での、「絵と字(プロット、アイディア)」の重要度は6:4、 という主張は全編を貫いていて、漫画の全体的な批評として優れている。
同業者ならではの、実際の作者とあった時の興味深いエピソードなども作品にからめて多く記述されていて、面白い。ただ、これは評論家としての彼自身の「売り」ではあるのだろうけど、誰でも真似できるものではないから結果、「漫画短評のスタンダード」を明確に提示できてはいないのは残念。